以前にも何度か書いたネタですが、どうも小田急は1957(昭和32)年デビューの初代3000形SE車を「初代ロマンスカー」と定義してしまったようです。実はプレスリリースを読むと「初代ロマンスカーの就役から50周年」ではなくて「ロマンスカー・SE (3000形)が営業運転を開始してから50周年」などという微妙な言い回しをしています。しかしポスターなどはほとんど「ロマンスカー50周年」と書いています。LSEを旧塗装に戻す旨のプレスリリースも、タイトルの出だしは「小田急ロマンスカー就役50周年を記念して……」となっています。気になる方は、小田急のWebサイトにあるプレスリリースPDFや、駅貼りポスターをチェックしてみてください。
つまりどういうことかというと、実際は昭和25年頃、車両で言えば1910形(後の2000形→1900形)のあたりから「ロマンスカー」という言葉が使われ、そして定着していったにも関わらず(私の親の親の世代—大正末期生まれ—は、SE以前の特急も“ロマンスカー”と呼んでいました)、マーケティングと営業のネタとして「初代ロマンスカー=SE車」という定義付けを小田急自らがしているわけですね。っていうか素直に「SE就役50周年」ってすれば良いと思うんですけど、VSEデビュー→VSEブルーリボン賞受賞→ロマンスカー50周年→そして今後のMSEのデビューという一連の流れと言うか、祭りが途切れないようにするためのネタとしては「ロマンスカー50周年」と言い切ってしまった方が都合が良いのでしょう。
確かに、SE車を初代ロマンスカーと認識している人はたくさんいます。次に、どれが初代ロマンスカーかという話は、ほとんど多くの人にとって「どうでも良い話」であるのも事実です。では、私はなぜ何度もこのネタに触れるのか。
マーケ&営業の都合で自分たちの会社の歴史を都合良く解釈するという、そのスピリットの無さが気に入らないんです。その昔、ロマンスカーと言いはじめたであろう誰かや、ロマンスカーに百合のエンブレムを付けて、そして「車内でお茶を出そうよ」と言いはじめた先人たちへの尊敬が感じられません。「私たちはロマンスカーというブランドを使ってお客さまにより良いサービスを提供するんだ」というソウルを感じません。
商売にしたいという下心だけを感じます。
リンク: 小田急ロマンスカーだより: オレンジ色のロマンスカー旧塗装が復活.
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