予告通りVSEの話題。VSEが今年の小田急ロマンスカーにおいて最大の話題であったことは間違いない。自分は4回ほど乗ったが、確かに素晴らしい車両だと思う。だけど、心の中に少し「?」な部分があるのも事実。
VSEが出たことで改めて認識されたのは、小田急のロマンスカーとは「ひとつのブランドである」ということだ。そしてVSEでは、前モデルに欠けていた「エクスペリエンス」を重視した車両であるということも、乗ってみて十分にわかった。小田急のロマンスカーには、「箱根に行くデラックスな特急」と「確実に座れる快適な都市間特急」という二面性があるが、双方のニーズを1つの車両で満たすには限界があるということを、EXEが明らかにしてしまった。EXEは実に快適な車両であるにも関わらず、エクスペリエンスという面では過去ロマンスカーに劣っているのは確かで、「狭くてボロくてチャチなLSEのほうが、EXEよりもお客さん(とくに観光客)に人気がある」という事態に陥っていた。そんな状況の中で「決定打」として出されたのがVSEと言える。
だけどね、だったらロマンスカーというものをイチから見直して、誰もが息をのむようなモノを作ってほしかったと思う。そして新たなブランド構築の第一歩としてほしかった。確かにVSEは乗ればとてもルーミーでサービスも良く、華やかな列車だと思う。でも、ナゼに前展望? ナゼに連接車? ナゼにシートサービス?
いや、それが悪いと言っているのではないけれど、結局のところVSEは「ロマンスカーは前展望じゃなくっちゃ」「ロマンスカーは連接車じゃなくっちゃ」「ロマンスカーはやっぱりワゴン販売じゃなくてシートサービスじゃなくっちゃ」という、「○○じゃなくっちゃ」の集合体のように思えてくるわけ。それって「スカイラインはハコ車っぽくなくちゃ」「スカイラインはタコ目じゃなくっちゃ」「スカイラインにはGT-Rがなくっちゃ」っていうのと、実は大差ないレベルなんじゃないか、と。すごくイイ車両だしイイサービスなんだけど、意外と目標が低いところにあるようにも思える。金がかかってるのはわかるし、日本を代表する私鉄特急であることは、疑う余地ははいんだけどね。
「ビスタカー」というブランドを築きながら「アーバンライナー」を打ち出した近鉄のほうが、役者が上なような気がする。
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