分が悪い……EXEのことだ。私は、EXEってヤツは展望席が無いばかりに必要以上に低く評価されていると思う。ロマンスカーという「商品」にはイメージが重要なのは確かで、VSEに乗ったことでその重要性を改めて実感した。しかしそれにしても、Web上で見かけるEXEに対しての評価は低い。いくら展望席がなくてブサイクで色が気に入らないからといって(笑)、インテリアが悪いとか座席が固いとか乗り心地が悪いとか言われるのは、頻繁に利用する立場からするとイマイチ理解ができないというか、言いがかりじゃないかとすら思う(他社の特急電車にわざわざ乗りに行くような人たちからするとそういう評価になるのかもしれないが、私にはわからない)。
好みの問題もあるだろう。しかし、リクライニングしないしわ、座席背面にテーブルが無い編成はあるわ(運用離脱したそうです)、17年経って内装のセンスは陳腐化するわ、バリアフリーには対応できないわ、車体がカクカク揺れるわで、私から見れば、リニューアルしたLSEのほうがよっぽどマシ。そしてEXEのほうが「倍はマシ」なのだ。唯一「夢がない」ことを除いては……。
皮肉な話だ。平日夜や土曜日の下りロマンスカーと言えば、1時間後の列車でも満席になっていて、駅に着いてから特急券を買おうとするようでは遅いというのが当たり前。そこにEXEが登場し、ロマンスカーの輸送力は格段にアップした。見た目には確かにガッカリしたが(笑)、キップは取りやすくなった。中身も、ボロが隠せなくなっていたNSEよりほとんどの面で良かった。唯一「夢がない」ことを除いては……。
ロマンスカーを日常的に利用する人にとっては、どうせキップの取れない前展望より輸送力アップが大事だった。そして、日常的に利用しない人にとっては、輸送力より「イメージ」が大事だった。小田急は前者の意見を取り入れてEXEを出した。そこに落とし穴があったというわけか。
もし小田急が本気でロマンスカーの商品力アップに取り組むというのならば、VSEの増備と同時にEXEの商品力アップを果たすべきだ。つまりEXEはリニューアルが必要だ。EXEの先頭車を展望車に改造するくらいの気合いがあってもいいだろう。とくに今回VSEに乗ったことで「こりゃもう、LSEも厳しいな」と思った。インテリアのクオリティに雲泥の差がある。それに対してEXEは、デビュー9年を経てもまだ現代のクオリティを有している。だからこそ今のうちに、EXEをリニューアルして展望車を付けてほしい。せめてRSEくらいの華が欲しい。