カーゴトラム – 路面電車が貨物を運ぶ

ドイツのドレスデンでは、フォルクスワーゲンが部品輸送にLRTを活用しています。


Dresden CarGoTram

Dresden CarGoTram by kaffeeeinstein, on Flickr


LRTの貨物利用。経済的自立を目指して | 経営からの地域再生・都市再生

ドレスデンには、フォルクスワーゲン社がガラス張り工場という(詳しくは下記の同社のweb参照)特異な工場を立てており、ここは完全手作業で作る高級車ラインを持っているそうです。この工場が敷地が狭いことで在庫スペースが設けられず、部品輸送などのために4km離れた倉庫から路面電車を利用してジャストインタイムでの輸送を実現しているというのです。それがカーゴ・トラムと呼ばれているものです。
一日当たり100台弱程度のトラック輸送量に代わる能力を持っているそうですが、短い4km区間だけにトラムを使っていることで全体的に見るとコスト面でも高く、環境負荷増加に繋がっている可能性は高いそうです。しかしながら、一つの街のシンボルとしては大きく環境重視などのメッセージ効果などはあり、評価されているということです。

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さて、先日、グルベローヴァさんの「ランメルモールのルチア」を聴きにドレスデンに立ち寄ったときのことです。空港から中央駅までSバーン(料金が安いのですよ。何と1.3ユーロ)で向かったのですが、ドレスデン・ノイシュタット駅を過ぎたあたりで、ふと街中を見ると、青い妙な格好をした路面電車が走っています。

ドレスデンの路面電車は、黄色が基本なので、青は妙です。“はて、何かな?”と見ると、自動車会社フォルクスワーゲンのマークが付いているではありませんか。これが、ウワサの「貨物専用路面電車」のようです。

ちなみに日本では、ヤマト運輸が嵐電を活用しはじめていますね。貨物ではなく、荷物ですが。


[クロネコヤマトの宅急便電車]路面電車を使った配達サービス 京都で開始 | レスポンス (ビジネス、企業動向のニュース)

ヤマト運輸と京福電鉄は17日、「路面電車を使用した低炭素型集配システム」を発表し、18日から運用を開始した。宅配便の配達区間の一部を路面電車で輸送してCO2の削減を狙う。路面電車を使った宅配サービスは日本初とのこと。

ヤマト運輸は拠点間輸送で鉄道コンテナを利用したCO2削減を実施している。今回は拠点から最終配達地までの間で路面電車と自転車を利用し、トラックの利用を控えることで、環境貢献を進めていく考えだ。京都市の京福電鉄嵐山線(嵐電)の西院車庫〜嵐山駅で行なう。

日本でも昔は路面電車で貨物を運ぶということが行われていました。有名なのは、かつてR246の路上を走っていた東急玉川線や、支線の砧線でしょうか。これら通称「玉電」は、二子橋付近の多摩川で採取された砂利を都心に運ぶために設置された鉄道だったのです。戦前は渋谷で都電とも接続し、砂利を運んだ貨物も都電に乗り入れていたんだとか。


玉電に「強盗慶太」がやってきて、川砂利の採取も禁止され、その後は沿線の宅地開発を行ったり、レジャー産業に進出(二子玉川園)したり、クルマ社会になって邪魔者扱いされて地下にもぐったり……田園都市線の旧新玉区間にも歴史あり、ですね。


東急玉川線 – Wikipedia


話を戻すと、今の日本の路面電車で貨物を運ぶのは現実的ではないかもしれませんね。そんなことができそうな立地の路線も、思い浮かびません。