マツダやKENWOOD、INAX、ブリヂストン、LUMINEなど、数多くのCIを手がけられてきた中西元男氏。NTTドコモの「旧CI」も中西氏の仕事なのですが、新しいCIについて、どうも我慢ができなかったようです。
CIとは決してロゴのデザインではありません。その裏側には企業の思想が必要です。ドコモ創業時にCIを手がけた中西氏は、その思想の部分を憂慮しています。
リンク: 中西元男公式ブログ | 中西元男 実験人生: DoCoMoどうした?.
発表されている新ロゴへの変更理由や「新ドコモ宣言」を見ると、「より顧客に近い存在」とか「顧客との絆」「顧客の声をしっかり受け止め」といった、何を今さらというか、1991年当時よりもむしろ時代遅れの言葉が並ぶのには、かなりのオドロキです。これが果たして社会的責任も大きい情報化時代を代表するトップ企業の発信すべきコンセプトでしょうか。なぜ、もっと高邁な精神を頂点とした品格あるアイデンティティを謳い上げられないのでしょうか。
さらに、次のようにも書いています。
企業ブランドという本来は知的美的ストックであるべき個性ある無体資産を、単なる販促ツールとしてのフロー情報に変えてしまったのが今回のdocomoの変更だったのではないのでしょうか。
そして、
そしてそれ以上に恐ろしいのは、ここに投資される費用が結局は消費者の上に覆い被さってくるという事実です。
街を埋め生活を埋めていく産業における事業責任という問題を、サステーナブル(持続可能)という企業の使命を、そして、極力無駄は出さないというエコロジーに対する企業姿勢を、果たしてドコモの皆さんはどうお考えなのでしょうか?今からでも遅くはない、「日本全国津津浦浦の全てを新しいロゴに変えようとするとこれだけの費用がかかることが判明しました。私たちはそのようなお金の使い方をやめ、それだけの分を消費者還元させていただくことにしました」と宣言されたら、どんなにイメージは上がることでしょうか?今すぐコマーシャリズム(商業主義)発想から脱却し、無駄遣いはお止めになってはと思えるのですがいかがでしょう?
——とも。
さて、我らが小田急電鉄の「ブランドマーク」なのですが。
小田急電鉄ブランドマーク posted by (C)macforest
もともと小田急グループには統一されたロゴマークがが存在しなかったので、それを欲していたのはわかります。では、小田急グループのロゴマークを制定するにあたりまず必要なことは何かと考えると、それは「小田急とは何か」「小田急はどこへ行くのか」(小田原とか相模大野とかそういう話しではありません)という思想をしっかりさせること、つまり「っていうか小田急って何よ」と自問自答していく作業ではなかったかと思います。
その結果?がコレ。
プレスリリース(PDF)
http://www.odakyu.jp/program/info/data.info/3353_1782322_.pdf
実は、小田急電鉄では2003年に「グループ経営理念」というのを策定しています。
『小田急グループは、お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の 実現に貢献します。 』
リンク: グループ経営理念・事業ビジョン|会社案内|小田急電鉄.
このフレーズに沿線住民としてちっとも魅力も期待も感じないというのはさておき、なぜこの理念を策定したタイミングでCIをやらなかったのか、不思議でなりません。同時進行の作業ではないから、何だか浮ついたというか、地に足が付いていない感じがするのでしょうか。また、この経営理念の策定後、CIが実施されるまでの間、ロマンスカーVSEの登場、制服の刷新、MSEの登場などがあったわけですが、どうも思想的な一貫性を感じないんですよね。
いや、せめてロゴマークがもっと優れたデザインであれば、いや、せめて使用規定がしっかり練られていれば印象は変わったかもしれません。
駅の案内表示ではどう使うか、小田急マルシェ等の建物の看板としてはどう使うのか、名札のバッヂは、印刷物は、名刺は、通勤電車の正面に貼るなら、そして側面ならどうか、同じ通勤電車でも、4000形ならどうか、5000形ならどうか——ちゃんとしたCIマニュアルがあるのかどうか、まぁマニュアルが無いってことは考えにくいですが、その完成度が低いのではないかと思うわけです。
あとね、そこにどれだけのお金使う価値があるのかっていうのを、そもそも見つめて欲しいな(使うなという意味ではありません)。
リンク: work ~PAOSの戦略デザイン~|PAOS.
こんにちは。
私もどうもこの「ドダキュー」ロゴ好きになれないんですよねー。
国鉄民営化直後のJRマークみたいな乱用っぷりな気もするんですが、あちらには企業体が変わったのをアピールする目的もあったでしょうから、美しさは二の次って面もあったでしょうからねー。
ほぼ同時期に新CIを導入した西武の新ロゴもさして好きでは無いのですが、あちらもグループの形が変わったアピールという目的がはっきりしてるのと、旧ロゴマークからのちょっとした連続性、意外と練られている利用方法あたりで気にならないんですよね。
西武もJRも「新生」「再出発」というのを意識づけるためにはCIが必要だったんでしょうね。小田急の場合、どうして必要だったのかよくわかりません(笑)
西武の新CI、30000系での使われ方はさすがに上手くはまっているような気がします。でも既存の車両に対しては、ちょっと微妙というか、背景が黄色のものに貼る際の使用規定をもうちょっと考えて欲しい感じもします。例えばステッカーを角丸にするだけでも、もっと良くなると思うのですが。