デジタル版だけになった「flick!」

エイ出版社の雑誌「flick!」が、紙媒体をやめてデジタル版だけになったそうで、その配信経路のひとつである「マガストア」から最新号を購入してみました。


flick! 2012年7月号[Full版] | 電子雑誌書店 マガストア


まずiPhoneで閲覧。けなげに頑張る我がiPhone 3GSですが、マガストアの電子雑誌を読むにはちょっとしんどいようです。


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こちらもけなげに頑張る、我が初代iPad。


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縦画面は、まぁなんとか。横画面の見開きでは、


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こんな感じ。さすがに初代iPadではちょっと厳しいかな。Retinaディスプレイならくっきり見えるのはわかるんですけど、かといって、字が大きくなるわけじゃありません。私ももうオジサンなので(視力は問題ありませんが)、字は大きいほうが良いです。「新しいiPadなら小さな文字がクッキリ!」っていうのはインパクトはありますけど、私の場合は読めてしまうが故にかえって目が痛くなってしまうので、悩ましいです。


(っていうか、「Retinaなら読めます」って、じゃあ今までの編集者やデザイナーの「可読性の追求」はなんだったの?って話でもある)


最後に13インチのMacBookです。


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「flick!」に限ったことではなく、画面の大きなiMacでも買わないと、パソコン上ではマガストアの電子雑誌は楽しめそうにありません。


デジタル版のみの販売で、紙媒体は作らない、だけど既存の紙媒体のワークフローそのままで作りたい……というのであれば、紙媒体のままのレイアウトではなく、タブレットデバイスを意識したレイアウトにするというチャレンジがあっても面白いのではないかと思いました。紙媒体でも出すものをとりあえずデジタルに……というのとは、シチュエーションが違うわけですから。


今は亡き「バニョール」は字が大きくて良かったです。


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ちなみにバニョールはWoodWingのデジタルパブリッシングツールで作られていたはずです。本来は紙媒体のアセットを活かしつつiPad版を作る(変換ではなく、新たなレイアウトを作る)ためのツールですが、紙媒体は無いケースでも「既存の紙媒体のワークフローを活かしたい」という出版社が導入していました。毎日新聞社のPhoto.Jもそうです。


自分でも何が言いたいかよくわからないというか、オチはないのですが、クロスデザイン・黒須信宏氏のコメントを引用して終わりたいと思います。


インタビュー – “紙用データをiPad向けに”という考え方では無理:ITpro

紙用にレイアウトしたものをそのまま持ってこようとか、それをちょっと加工すれば何とかなる、といった考えではiPad版を作るうえで無理があると思います。言いたいことや見せたいことがあってそれをiPad用に作り変えましょう、という考え方であれば全く無理がないと思います。

 よくあるケースが「紙用にInDegignのデータがあるからこれで何とかして」という場合です。でもそれはそもそも考え方からして違うと思うんですよ。こんなとき、よく大根とおでんの話をします。大根を煮込むとおでんにもなる。生の大根だったら漬物にもできる。でもいったんおでんになった大根は漬物にはなりませんよね。つまり電子化するには紙用のデータにする前のコンテンツ、「見せたいこと、言いたいこと」に戻らなければなりません。

 でもそんな当たり前のことがなぜか無視されるというか、気づかれずに「そのまま進めればいいのでは」という乗りでiPad版を作っているように見受けられます。そもそもが全然違うものであり「見せたいことがある、じゃあ最終的な出力の仕方はこれに合わせて作りましょう」という考え方じゃないとiPad用の雑誌として読まれるものにはならないと思います。