2017年9月10日、東京都渋谷区代々木の小田急小田原線沿いにて火災があり、近くの代々木八幡〜参宮橋間を走行中の電車が緊急停車、その電車に延焼するという事故がありました。幸い、電車の乗員乗客も含め、この火災によるけが人はなかった模様です。
10日午後4時5分ごろ、東京都渋谷区代々木5のボクシングジムから出火したと119番があった。警視庁代々木署などによると、プレハブ3階建てが燃え、脇を通る小田急小田原線の停車した車両に延焼した。乗客ら約150人は避難し、けが人はなかった。
情報源: 小田急線:電車屋根に延焼 渋谷の建物から火 けが人なし – 毎日新聞
さて、この火災についての報道をみていたところ、とても気になる記述をみつけました。
小田急電鉄によると、現場近くの踏切で警察官が非常停止ボタンを押したため、列車は自動的にブレーキがかかって火災現場脇で緊急停車した。この直後、前から2両目の屋根に火が移ったという。乗客は先頭と最後尾の車両から降りて、線路を歩いて避難した。
情報源: 緊急停車の直後、車両屋根に燃え移る 小田急の沿線火災:朝日新聞デジタル
警察官が踏切の非常停止ボタンを押したというのです、
非常停止ボタンを押すと電車は非常ブレーキがかかり停車してしまいます。安全確認が取れるまで再発車もできません。火災現場の近くを走行中に緊急停止してしまうと、むしろ危険です。
しかし、この警察官も独断で非常停止ボタンを押したわけではなさそうです。
警察などによりますと、当時、現場に駆けつけた警察官が、消防からの要請を受けて近くの踏切に設置された非常停止ボタンを押したところ、電車に自動ブレーキがかかり、ちょうど火災の現場に差しかかったところで緊急停止してしまったということです。
情報源: 小田急小田原線の沿線で火事 一時車両に燃え移る | NHKニュース
消防が現場の警察官に要請されて、踏切の非常停止ボタンが押されたと報道されています。
小田急電鉄によりますと、沿線の火災の影響で停止したのは、新宿行きの各駅停車の電車で、8両編成の車両のうち前寄りの車両に沿線で起きた建物火災の火が燃え移ったと見られるということです。
情報源: 小田急小田原線の沿線で火事 一時車両に燃え移る | NHKニュース
非常ブレーキは走行中の電車を最短距離で止めることになります。この非常ブレーキがかかる動作に運転士の意思は介在しません。つまり、非常停止ボタンが押された時点で、この電車は火災現場横で停止してしまう以外の一切の選択肢が失われています。
これが運転士の判断であれば、火災現場横を通過し、通過後に線路上に停車してすみやかに運転指令に連絡したり安全確認を行うなり、別の行動を取ることもできたでしょう。
近くで火災が起きている、その横に停車してしまっている、踏切の非常停止ボタンが押されている理由が火災かどうかも、乗務員にはすぐにはわかりません(もしかしたら無関係に線路上に人が倒れているとも限らない)。直後はたいへん混乱したのではないかと思いますが、約150名と言われている乗客の方々が迅速に避難できたのは幸いでした。
パトカーから発炎筒でも持って来てもらって線路でたいてもらったほうが、よっぽどよかった。
「火災現場に横付け」
けが人がなかったからよかったものの、こんな危険な事態が消防の要請をきっかけとして生じたのであれば、それは消防の「失態」と言えるのではないでしょうか。これが事実なら、詳細な調査と再発防止策が必要です。
[追記]一般の通行人が踏切の非常停止ボタンを押したと言うのなら、話は別だと思います。わかりませんから。今回は「電車が火災現場に止まってしまう可能性を考慮せず消防がそれを要請しちゃダメでしょう」という趣旨です。
[追記2]消防と警察は何をやっているんでしょうか……。
事故の概要分かってきたからまとめ
1. 火災現場を通過しようとしたところ、警察の踏切非常ボタン操作により自動(ATS動作)で火災現場の真横で停止。
2. 7号車屋根に引火。
3. 非常運転により火災現場から脱出する最中、消防隊員の言葉により車掌が緊急停車。
4. 消火&避難誘導 pic.twitter.com/wHCH82eYxV— FMハチ (@ABFM_8) 2017年9月10日
[追記3]前の報道ではその警察官も消防からの要請を受けて非常停止ボタンを押したということですから、消防の現場が混乱・暴走したのでしょうか。
小田急電鉄が当時の状況を調べたところ、火災が発生したとき、運行を指揮する指令所に消防から「沿線で火災が起きた」と連絡がありましたが、指令所から乗務員に指示を出す前に、現場に駆けつけた警察官が近くの踏切に設置された非常停止ボタンを押したため電車に自動ブレーキがかかり、現場のすぐ脇で緊急停止したということです。
情報源: 小田急沿線火災 緊急停止のいきさつなど当時の対応調査 | NHKニュース
[追記4]消防と警察が、冷静さを失い本来とるべきではない行動をしているのではないでしょうか。これが事実であったとしたら、消防の現場指揮官には大きな責任があるでしょう。
これまでの調べで、火災が発生した時、小田急の指令所に消防から「沿線で火災が起きた」と連絡がありましたが、指令所から乗務員に指示を出す前に現場に駆けつけた警察官が消防隊員から「踏切から消火活動をしたいので電車を止めてほしい」と要請され、非常停止ボタンを押したことが警視庁などへの取材でわかりました。
情報源: 小田急線火災 消防の要請で警察官が停止ボタン押す | NHKニュース
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