ターミナル駅の「迂回と集客」その2

「政策」によって高速鉄道と地下鉄の接点はターミナルを避けてきました。しかし今話題の渋谷駅に目を移しますと、東横線と日比谷線の接点はわざわざ中目黒にして渋谷を避けているのに、なぜに田園都市線と半蔵門線は渋谷を通っているのでしょうか。京王線と都営新宿線の例のように、ターミナル駅を迂回させるという政策はどうでもよくなったのでしょうか。


そうではない、みたいです。


多摩田園都市っていうのが東急電鉄による大規模開発であることは、今さら言うまでもありません。そこに住む人のアシとして東急電鉄が用意したのが田園都市線でありました、大井町始発の。


大井町始発の。


大井町〜溝の口を走っていた大井町線を長津田方面に延伸させて作ったのが、田園都市線です。大井町線という名称は一時期使われていませんでした。大井町〜長津田が「田園都市線」だったのです。


ニコタマから渋谷方面は?


1966年に田園都市線が開業したとき、二子玉川〜渋谷を走っていたのは路面電車「玉川線」でした。今の世田谷線は、玉川線の支線でした。こんな路面電車に、都心方面のアクセスは期待できません。しかも玉川線は1969年に廃止され、同じ区間に地下鉄の「新玉川線」が開通するまでは、なんと8年のブランクが!


田園都市線沿線にマイホームを買ったパパは、緑色の電車に揺られて大井町に出たり、自由が丘で乗り換えたり、はたまたバスに乗ったりして都心に出ていたのですよ。涙ぐましい!


今の大井町線にあたる区間はパンクしました。


さて、玉電の二子玉川〜渋谷間の代替路線としては銀座線を延長することも検討されたのですが、銀座線はすでにパンクしていました。そこで、東急は新玉川線という地下鉄を建設、一方、営団地下鉄は渋谷から半蔵門方面に「半蔵門線」を建設します。田園都市線を渋谷に直結させ大井町線のパンクを回避、一方渋谷駅や銀座線のパンク回避としては「銀座線のバイパスとして」半蔵門線を建設することになったのです。


赤坂見附のほうから銀座線に乗ると、表参道でごっそり降りて、渋谷までの最後の一駅はガラガラでしょ。銀座線は小さな車体のままだけど、未だ破裂していない。銀座線そのものや、「銀座線の」渋谷駅に関しては狙い通りパンク回避がなされましたし、東急大井町線ものどかな路線へ戻って行きました。ここまではたぶん計算通りでしょう。しかし、多摩田園都市の発展スピードだけが予想外だったのでしょうね。こんどは新玉川線・半蔵門線の渋谷駅がパンクしてしまいました。


ただし、新玉川線・半蔵門線の渋谷駅は土地の制約からくるホームの狭さは最悪ですが、他の路線の駅と適度に離れているので人の流れはある程度分散しています。距離を離せば多少面倒ですが混雑の激化が避けられます。試験に出るので覚えておいてください。


さらに続く!