逆ヘル

ダホンに乗って車道で信号待ちをしているとき、交差している道路からピナレロに乗ったおじさんが現れた。

ピナレロのおじさんは左からやってきて左折して、前方へ走っていった。

買ったばかりと思われる、ピカピカのカーボンバイクだ。

赤信号を待ちながら、走り去っていくおじさんの後ろ姿を見つめる。

ん…

ん…

ん?

何かがおかしい。

ヘルメットのデザインがなんか独特というか、見たことないというか、その……

「逆ヘル!!!!」

信号、青。

ダホンでピナレロ、追っかけた。

そして追いついた。私は言った。

「こんちゃーっす。ヘルメット、逆!」

ピナレロのおじさんは「本当ですか!」と言って、すぐに止まってかぶりなおした。

そしてピナレロのおじさんは会釈をし、私は手を上げ、それぞれの方向へ別れた。

「ヘルメットのかぶり方も知らないで」なんて言うのは簡単だけど、だったら教えてあげればいいじゃん、と思った。

彼だって前後逆にかぶりたいわけじゃないはずだ。

だから本気で追っかけたw

何年か前、ホームページでビギナーの無知やスキルのなさをいつもグチグチ、ネチネチと書いているホビーレーサーがいて「だったらアンタが一声かけてやれよ」っていつも思っていたんだけど、あるときサイクルジャーナリストに転身し、突然「私はみなさんの味方です」みたいなツラをし始めてびっくりしたことがある。

自戒!

自戒!!!!

超自戒!!!!!!(どんなだ)。